「東京大改革を進める」と訴えて都知事選に勝利し、私が最初に取り組んだのが知事報酬を半減する「身を切る改革」だった。改革を進めるには覚悟が必要だからだ。その結果、知事報酬よりも議員報酬の方が高くなってしまった。私だけ身を切って、議会は何も変わらないのでは、東京大改革は進まない。そこで都議会公明党が先頭に立ち、議員報酬の20%削減などが実現した。あの時、改革の旗を掲げてくれた公明党の決断に感謝している。
公明党の主張の一つに、「教育格差の解消」がある。日本、そして東京の一番の宝は、やはり「人」だ。家庭環境によって教育を受ける機会が閉ざされてはいけない。私立高校授業料の事実上の無償化は、公明党から強い提言があり、この4月から年収760万円未満の家庭の生徒を対象にスタートしている。
教育の格差を解消するのと同時に私が解消したいことは、街の段差だ。少しの段差があるだけで、障がい者の皆さんは本当に苦労している。2020年に東京でパラリンピックが開催されるのを機会に、東京中の段差解消に努めたい。
目の不自由な方が駅のホームから転落する事故も起きている。公明党からは「盲学校のある地域からホームドアの設置を急いでほしい」との提案があった。公明党の質問には、生活者の意見がしっかり盛り込まれているから中身がある。私は知事として、公明党の質問は都民にとって必要なことであると受け止め、スピードアップして進めていきたい。
街のバリアフリー化は、都と国、区市町村の連携が大切だが、行政の連携で一番重要なことは防災・減災対策だ。私は兵庫県出身で、阪神・淡路大震災を経験した。街の無電柱化や耐震化、木造密集地の不燃化など、安全な街に変えていくことが欠かせない。
女性の目線も重要だ。日本は母乳か粉ミルクを前提にしてきたが、災害で水道や電気、ガスが止まったら、乳児用の粉ミルクが溶かせない。ほ乳瓶の煮沸もできない。そうした場合、液体ミルクが役に立つ。だが、日本では(安全基準がないなどの理由で)製造されていないので、東京都が防災用クラッカーなどと共に大きな単位で購入すれば、生産を迷っている企業の後押しになる。細かい話かもしれないが、こうした細かい視点こそ、庶民・生活者を第一に考えることだと思う。
私はたとえ小さな政策であっても、夏の軽装「クールビズ」と同じように、大きなうねりに変えていきたい。大義ある政策を、皆さんの共感と共に進めていく。そんな都政を築きたい。今、都政は築地市場の豊洲移転問題をはじめ、待機児童問題や介護、教育など、たくさんの課題を抱えている。改革の柱をきれいに打ち立てることで、都民の目線、都民の利益を第一に考えた答えが出せる。そのためにも東京大改革の中軸として、公明党都議団の活躍を心から期待している。
東京大改革をスピードアップさせるのか、後退させるのか。この選択が、今回の都議選で求められている。どうか、東京大改革の実現に協力をお願いしたい。
公明新聞:2017年5月5日付