山梨学院大学 江藤俊昭教授

東京都議会公明党が実現した議員報酬の20%削減などの「身を切る改革」の意義について、地方議会改革に詳しい山梨学院大学の江藤俊昭教授に聞いた。

庶民目線で議会動かす 政活費、ネット公開の意義大きい

――都議会で「身を切る改革」を具体化するための条例が2月に成立した。

江藤教授 公明党が重要政策として「3つの挑戦」のまず一つ目に「身を切る改革」を掲げ、実現した姿勢に議会改革への決意は本物だと感じた。

本会議などに出席するたびに定額支給される費用弁償の廃止は、その一例だ。既に大半の地方議会で費用弁償は廃止されているが、都議会では見直しができないでいた。今まで“動かせなかった問題”であり、それを庶民目線の公明党が議会を大きく動かした。評価したい。

――特に注目した点は。

江藤 政務活動費(政活費)の収支報告書や領収書などの写しのインターネット公開を実現し、透明化を進めた意義は極めて大きい。誰でも容易にチェックできるので、議会に対する不信感の払拭や不正受給の防止に役立つ。

都議会公明党には、さらなる改革を進めてもらいたい。一つは、政活費を「何に使ったか」という活動指標の公開だけでなく、「何の目的で使い、どんな成果につなげたか」という成果指標も明らかにしていく必要がある。新たなルールを検討できないだろうか。

また、政活費を削減しても、首都・東京における議会の調査能力や政策立案力は、一段と高めなければならない。そのためにも、議会を支援する議会事務局・議会図書室などの機能強化を検討すべきだろう。

都議会は“身を切る”ことで議会改革の一歩を踏み出したが、今後、新たな都政、議会像をどう創り出すかが、より重要になる。

――議会改革に必要な視点とは。

江藤 地方政治は自治体の首長と議員が、それぞれの選挙で選ばれる二元代表制で成り立っている。国政の議院内閣制と違い、議会は首長と一定の緊張感を持って議論するのが基本だ。

公明党は、どこまでも“都民とともに歩む”視点に立って調査能力や政策立案力を磨き抜いてもらいたい。そして都知事ら執行部の足らざるところは厳しく指摘し、より政策を深掘りし、住民福祉の向上につなげる役割を果たしてほしい。

――公明党への要望は。

江藤 公明党は随分前から、情報公開など住民とともに歩む議会像を提言しており、地方議会改革をかなり先進的にリードしている政党の一つだと思っている。都議会でも、その活躍を期待したい。

公明新聞:2017年4月12日付