投票支援の取り組みについて市の関係者と意見を交わす石川市議(右)

東京都狛江市では現在、障がい者の投票をサポートするため、投票の手順やルールなどを映像で分かりやすくまとめたDVD(約14分)が販売されている。同市選挙管理委員会(選管)などの監修のもと、障がい者の親たちでつくる「狛江市手をつなぐ親の会」(森井道子会長)が中心となって制作したもので、都内外の選管や特別支援学校が参考にしようと購入するなど、関係者から注目されている。

手順を分かりやすく紹介

知的障がい者や高齢者の中には、選挙の意味を理解できなかったり、投票用紙に政党名や候補者名をうまく記入できないことから、投票を躊躇してしまう人が少なくない。このため、投票所にいる職員が本人の指示に従って代わりに記入する代理投票など、選挙権を行使するための支援を適切に行うことが求められている。

今回作られた投票サポートDVDは、選挙に行く意義を初めに確認した後、本人投票と代理投票の両ケースに分けて、受け付けでの手続きから投票箱に投票用紙を入れるまでの一連の流れや、各場所における注意点を模擬投票の様子を映しながら説明する構成になっている。

特に代理投票の場面では、本人による申請以外は認められないことを踏まえた上で、入場整理券が入った封筒に「代理投票をお願いします」と書いたメモを貼り付けて受け付けに提出するなど、スムーズな手続き方法を紹介。狛江市では、あらかじめ自分で選んだ候補者名や政党名を書いたメモ、選挙公報の切り抜きを投票記載台に持ち込むことが可能で、障がい者が安心して投票できるように映像の中でも案内している。

公明推進 市も全面バックアップ

DVDには、障がい者向けにルビが振られた副読本のほか、映像のシーンに沿った説明が詳細に書かれた解説本のデータなどが収められ、自治体や学校の関係者が研修で活用しやすいように工夫されている。

市選管事務局によると、7月に行われる都議選の投票に向けた職員の説明会で、このDVDを使用する予定。井上和信事務局長は、「障がいのある市民が貴重な一票を投じられるようにサポートしていきたい」と話していた。

市では、公職選挙法の改正によって被後見人の選挙権が回復した2013年から、投票所の職員が必要な配慮を学ぶ体験投票のほか、関係団体が主体となって知的障がい者向けの選挙公報を発行するなど多彩な取り組みが行われている。

DVDの制作に当たっては、市職員が撮影に携わるなど市も全面的にバックアップ。架空の首長選を設けて障がい者施設で模擬演説会などを事前に行った上、市役所で当事者が実際に投票する場面を撮影した。

公明党の石川和広市議は13年9月定例会で、被後見人に配慮し、安心して選挙権を行使できる環境を整備するよう求めるなど、投票支援に関する市の積極的な取り組みを促してきた。

公明新聞:2017年4月24日付