都議会公明党は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、世界一のバリアフリー都市の構築をめざしています。「人にやさしい街づくり」が前進します。

■小中学校のトイレを洋式化

都は学校や公共施設などのトイレ洋式化のため、2017年度予算案で前年度の約5倍となる38億円を計上しました。現在、都内の公立小中学校の洋式化率は55%です。しかし、残る和式トイレについては、老朽化による不衛生な状態や苦手意識などを理由に、子どもたちが利用を我慢する傾向が指摘されています。

「洋式が1基でも増えると、子どもたちはとても助かります」。こう語るのは、大田区の小学校に4年生の次女を通わせる吉澤裕美さんです。次女が通う学校は校舎の各階に5基あるトイレのうち洋式が1基のみ。吉澤さんは「休み時間になると洋式トイレに列ができ、時間内に用を足せない児童がいる」と話します。

一方、全国の公立小中学校の教職員を対象にした調査で、児童・生徒たちのために改善が必要と思われる学校設備を「トイレ」と答えた割合は59%に上ります。

こうした現状から都議会公明党は、かねてから議会質問などで洋式化をはじめ、学校トイレの環境整備を訴えてきました。昨年12月には17年度予算編成に関し、小池百合子知事に、強く要望しています。

また都は、2020年東京五輪の競技会場となる都立公園や、都営地下鉄の駅など利用者が多いトイレの洋式化を優先的に進めます。都は20年度までに小中学校の80%を洋式化するなどの目標を示しています。

■2020年東京五輪へ バリアフリーを加速

駅にホームドア、段差解消など

鉄道駅のホームドアや、エレベーターの整備などによるバリアフリー化も加速します。17年度予算案では、ホームドアを整備する駅数を前年度の9駅から20駅に増やします。JR京浜東北線の有楽町駅などが対象です。また、エレベーターの設置も5駅から11駅に倍増します。

都議会公明党はこれまで、痛ましいホームでの転落事故を防ぐため、駅のホームドア整備を推進してきました。現在、ホームドアの整備状況は都営地下鉄4路線の都内95駅のうち、61駅で完了。東京メトロでは丸ノ内線、有楽町線、南北線、副都心線の4路線全駅で設置が完了しています。

一方、20年の東京五輪へ、観光施設周辺などを結ぶ歩道の段差や勾配の解消を進めます。また、大会施設や会場に向かう視覚障がい者のために横断歩道上での歩行を支援する「エスコートゾーン」も整備します。

無料Wi―Fiの利用促進

増加する訪日外国人のため、無料Wi―Fi(ワイファイ)の利用環境を充実させます。外国人旅行者が多く訪れる東京駅周辺などの10地域と、20年の東京五輪会場周辺での整備を優先的に推進。都は20年までに利用を促進するWi―Fiアンテナなど、全700基の整備をめざしています。

無料Wi―Fiの拡大は、視覚や聴覚に障がいがある人でも音声や文字情報を瞬時に得られる、“情報のバリアフリー”の後押しにも期待されています。

差別や偏見ない社会へ

都議会公明党は交通機関などのバリアフリー化とともに、心のバリアフリーにも力を入れています。都は昨年4月、障がい者などへの差別や偏見をなくす心のバリアフリーについて区市町村と事業者向けのガイドライン(指針)を策定しました。

このガイドラインに基づき、16年度から児童・生徒が心のバリアフリーについて考える機会として、ポスターコンクールを実施しています。17年度予算案では同事業などを継続する予算も盛り込まれています。

また、都議会公明党は心のバリアフリーを進める一環で、障がい者への差別をなくすための条例制定を提言しています。

■子どもに目を向けた英断

学校のトイレ研究会 河村浩事務局長

東京都による学校トイレの洋式化の促進は子どもたちに目を向けた英断です。1990年代から数多くの学校でトイレの状況を調査してきましたが、現在も「臭い・汚い・怖い・暗い・壊れている」の「5K」と呼ばれるトイレが多数を占めています。特に、公立学校では限られた予算の中、校舎の耐震化などを優先するため、トイレの整備は後回しになる自治体も少なくありません。

国の調査では全国の公立小中学校にある約140万の便器のうち、洋式は43%にとどまります。災害時には避難所ともなる学校のトイレは高齢者の利用や衛生面から洋式化を推進すべきです。都の取り組みから、学校トイレの整備が全国に広がることを願っています。

公明新聞:2017年2月10日付