東京都はエネルギー消費量を2030年度までに00年度比で30%削減する目標を掲げ、先駆的な対策に取り組んでいる。その中にあって都議会公明党が主導的な役割を果たし、二酸化炭素(CO2)削減の制度化や、次世代エネルギーの普及などを進め、“省エネ先進都市・東京”をリードしてきた。現状を紹介する。

事業所にCO2削減義務

☆排出量取引も導入 第1期間は目標達成

東京都は2010年度から、オフィスビルなどの業務部門を対象とする「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」(キャップ・アンド・トレード制度)を導入し、世界初の試みとして高い評価を受けてきた。これは、大規模事業所ごとにCO2削減を義務付けるとともに、目標が未達成の場合、排出枠を事業所間で調達し合う排出量取引を利用するもの。取り組みが特に優れた事業所を「トップレベル事業所」として公表したり、削減義務目標を緩和する一方で、未達成の事業所に対しては罰則規定を設けている。対象は、一定以上のエネルギーを消費する都内約1300の事業所となっている。

制度スタート時の第1計画期間(10年度から5年間)では、各事業所が定めた基準排出量に対しオフィスビルが8%、工場などは6%の削減義務を課し、LED照明や高効率の空調機器の導入、運転管理の見直しを進め、全ての事業所で目標を達成。約1400万トンのCO2排出量が削減され、これは都内世帯総数の2割に当たる約130万世帯のCO2排出量に相当する。

こうした削減が進んでいる要因について、都環境局総量削減課は「CO2削減を義務付けたことで、経営者の意識が変わり、新しい省エネ対策を積極的に実施した成果だ」と語る。

現在、第2計画期間(15年度から19年度)がスタートしており、新たな削減義務目標はオフィスビルが17%、工場などは15%とアップし、さらなる省エネの推進が期待されている。

家庭の白熱電球、LEDと無償交換

一方、都内のエネルギー消費量全体をさらに削減するには、消費量の3割を占める一般家庭への対策強化が重要とされる。このため、都は7月から、都民を対象に家庭で使っている白熱電球2個を地域の電気店に持ち込むと、LED電球1個と交換する事業を始める。都が交換用に用意するのはLED電球100万個。その全てが白熱電球(60ワット)と置き換えられた場合は、年間で約23.4億円の電気料金、約4.4万トンのCO2排出量を減らせる見込みだ。

また、一般家庭だけでなく、警察署や消防署など都有施設(約2100カ所)や既存の都営住宅(4536戸)でのLED照明の導入も進める方針だ。

水素や太陽光発電など 再生エネを積極活用

都は省エネに向けて次世代エネルギーの普及・拡大にも取り組んでいる。水素を燃料に使った「燃料電池バス」を今年3月から全国初の試みとして路線バスに導入している。燃料電池は、水素と空気中の酸素を化学反応させて発電するため、CO2を排出しない。

都は現在、2台の燃料電池バスを東京ビッグサイト(江東区)と東京駅丸の内南口を結ぶ約8.4キロ区間で運行し、平日8往復、土日祝日は9往復する。都は20年までに、バス全体で100台、都バスで70台の導入をめざしている。

さらに都は太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用した「エコハウス」の普及にも力を入れている。既存住宅への太陽光発電設備などの設置助成に加え、17年度から「高断熱窓」の導入を促進するため、寝室など“一部屋単位”の改修にも助成(上限50万円)する。

都議会公明党が主導

都議会公明党はこれまで、省エネ対策の強化を一貫して推進してきた。04年6月の定例会では、都が国に先駆けてCO2削減の仕組みを導入するよう強く求め、キャップ・アンド・トレード制度の実現をリード。燃料電池自動車の都バスなどへの導入も、議会質問などを通じて提案してきた。

14年10月には、「再生可能エネルギー促進プロジェクトチーム」が、都有施設への再生可能エネルギーの導入や新技術の研究・開発への支援などを都に提言。また、16年12月に都に行った予算要望では、既存の都営住宅などへのLED照明の設置を主張し、17年度予算に盛り込まれている。

公明新聞:2017年6月16日付