「東北の被災者を決して忘れない」―。東日本大震災からの復興へ、都議会公明党は、一貫して都の被災地支援の先導役を担ってきた。

支援策を探るため、被災3県に調査団

都議会公明党は、震災発生の直後から、都としての復旧・復興支援策を探るため、岩手、宮城、福島の被災3県へ、3チームに分かれて調査団を派遣し、被災者から寄せられた声を都政に届けてきた。

東京電力福島第1原発事故の影響で観光産業が打撃を受けている福島県への旅行を促すため、都議会公明党は製氷工場を訪れ復興状況を確認=2012年10月 宮城県現地の切実な声を受け止め、同県への旅行代金の一部を都が負担するよう強く要望。「その効果は、はっきりと“県民の笑顔”に見える」(内堀雅雄・福島県副知事=当時、現知事)と高く評価された「被災地応援ツアー」を実現するなど、被災地支援に尽力してきた。

現地の復興はこれからが正念場を迎える。今後も、現地のニーズを的確に把握し、物心両面にわたる息の長い支援に取り組んでいく。

小池知事に支援充実を要請

小池知事に予算要望を行う都議会公明党(昨年12月21日、都庁)

震災復興の加速へ東京からさらなる支援を―。都議会公明党は昨年12月21日、都庁で小池百合子都知事に対し、都の2017年度予算編成に関する要望を行った。

このうち、都の被災地支援では、(1)被災地応援ツアーの継続(2)自治体への人的支援(3)農畜水産物のPRなど風評被害の払拭、中央卸売市場として被災地の希望につながる取り組みの促進―などを要請。

小池知事は、要望に理解を示した。17年度予算案には、同ツアーの継続や任期付職員の派遣、震災記憶の風化防止イベントなど、公明党の主張が数多く盛り込まれた。

風評被害の払拭と復興五輪の実現に全力 東村くにひろ幹事長に聞く

東村くにひろ 幹事長

議会公明党は、発災直後から何度も現地に入り、被災者の声を吸い上げ、現場の要望を直ちに議会で取り上げるなど、粘り強く訴えてきました。被災地の災害廃棄物(がれき)の広域処理に加え、都職員の長期派遣、被災地応援ツアーの実施を推進。さらには、被災地の子どもたちを都内に招き、交流試合やホームステイなどの機会を提供するスポーツ交流事業の取り組みを進めるなど、被災地のニーズに応えてきました。

被災地は、今なお風評被害に復興五輪の実現へ課題を探る=2015年2月 福島県苦しみ、震災の記憶の風化も懸念されています。特に、安全な福島県産農産物の風評被害の払拭に向け、都として、全力を注ぎます。また、福島県を訪れる観光客数が震災前の水準に回復するには、もう一押しが必要です。このため、被災地応援ツアーの継続実施を訴え続けることに加え、以前のように盛況だった都内学校による福島県への教育旅行の活性化に取り組みます。

さらに、2020年東京五輪の追加種目となった野球、ソフトボールに関し、福島県で開催できるよう引き続き求めるなど、復興五輪への道筋を確かなものにしていくとともに、復興への都の取り組みを加速させていきます。

東北支援に尽くした これまでの歩み

◎ふくしま産品キャンペーン

鉄道事業者や区市町村などと協力し、福島県を代表する果物の桃をはじめ、新鮮な野菜や銘菓などの販売、さらには観光の魅力を発信する「ふくしま⇔東京 キャンペーン」を実施。都営地下鉄や、東京メトロの駅構内で「産直市」の開催や、さまざまなイベントで県産品をPRしている。

 

◎福島への被災地応援ツアー

福島県への旅行代金を都が1人1泊3000円助成する「被災地応援ツアー」が好評を博している。都議会公明党がいち早く「被災地の観光振興につながる支援が必要」と訴え、2011年9月からスタート。都の17年度予算案には2万泊分(日帰りは1回1500円助成で1万5000回分)が盛り込まれた。

◎1000キロ縦断リレー

スポーツの力で復興を応援―。都議会公明党は、青森から東京までランニングと自転車で走り、たすきをつなぐ「未来への道 1000キロ縦断リレー」の開催を強力に推進してきた。このリレーは、震災の記憶の風化を防ぎ、被災地復興への取り組みを発信するのが目的で、昨年で4回目の開催となり、好評を博した。

 

◎都内への避難者に住宅提供

都営住宅や民間賃貸住宅での受け入れなど避難者の住宅確保を推進。入居期間についても岩手、宮城の両県からの避難者は入居日から7年間、福島県からの避難者は2018年3月末に延長した。なお、民間賃貸住宅については住宅提供者の事情で転居が必要になる場合もある。

◎放射線教育施設で教員研修

都は2017年度、教員が被災地の復興状況を正確に把握し、教育現場での活動に生かすため、東京電力福島第1原発事故や除染、放射線研究などを学べる教育の拠点「福島県環境創造センター」への訪問を実施する。現在、都が行っている教育管理職対象の宿泊研修などを活用。今後は教育旅行の再生にもつなげる。

◎子どもにスポーツ交流の場

震災の影響で思うように体を動かすことができない被災地の子どもたちを支援するため、2011年8月からスタートしたスポーツ交流事業。今年度も夏休み期間中に活発に開催され、福島と東京の子どもたちが絆を深めた。17年度も引き続き、合同練習のほか、交流試合やホームステイなどが行われる。

 

◎都職員を被災地に長期派遣

被災地の復興事業などで職員が不足している課題に対応するため、都職員の被災地派遣を強力に後押し。これまでに、警視庁や東京消防庁を含む計3万人を超える都職員を被災地に派遣した。現在も、自治体の行政事務支援などで84人が現地の復興を支え続けている。

◎小売業者など福島で研修会

福島県産の農水産物の風評被害対策として、都内の小売業者などが現地の万全な放射線検査体制を視察する研修会を開催し、話題を呼んだ。これは「売り手」が“自分自身の目”できちんと安全性を確認した上で、自信を持って福島の農水産物をPRできるよう、公明党の提案で実現した企画。

◎震災がれきの広域処理

都は都議会公明党のバックアップを受け、東北地方以外の自治体では初となる、岩手、宮城の両県で発生した災害廃棄物(がれき)の広域処理を実施した。都議会公明党は都民の不安解消に向け、都内の民間会社を訪問。がれきの搬入や処理過程、放射線量などの測定状況を調査。都民の安全・安心に努めた。

 

 

公明新聞:2017年3月11日付